なぜクレストンなのか?
アラン・今井
[アラン・今井教師は、現在、アメリカ神慈秀明会アソシエート・ディレクター兼秀明自然農法国際プロジェクト・コーディネーターである。]
1998年9月、神慈秀明会はインターフェイスセンター・オブ・ニューヨークの主催するインターフェイス礼拝に参加した。その際、ディーン・モートン氏とバワ・ジェイン氏が会長先生(神慈秀明会会長小山弘子)をモーリス・ストロング氏とその妻ハナ・ストロング女史に紹介した。ストロング氏は、「環境の父」として知られ、ハナ女史は環境問題に熱心に取り組まれ、特に世界中の原種の種の保護と保存に力を入れている。これらの種の収集と保存の活動は彼女がコロラド州クレストンに設立したEarth
Origins Seeds(アース・オリジンズ・シーズ)によって行われている。私は、1998年10月、松林教師(自然農法部長)と中村教師(自然農法実施者)と共に初めてクレストンを訪れた。そこで私は、彼女の原種の保存のみでなく、インターフェイス活動への取り組みと先住民達への強い関心があることを知ったのである。
1999年2月、ハナ女史は神苑を訪れ、原種の種子の保存の取り組みについて語られ、また地球再生部隊(ERC:Earth
Restoration Corps)の活動についても話し合った。彼女の設立したERCは,将来の持続可能な発展を作り上げていく青年を対象とした教育的リーダーシップ・プログラムである。昨夏、神慈秀明会の青年を対象にERCが実施され、神慈秀明会は多くのリーダー達をクレストンのリトリートへ送った。ハナ女史の環境と青年への取り組みは彼女の深い精神性から湧き起こるものである。ハナ女史の信念は、まったく神慈秀明会の理念と一致する。彼女は今、われわれをクレストンのインターフェイス・コミュニティーに迎い入れようとしてくれており、その土地の「金鉱山跡地」としてしられる区画が正式に神慈秀明会に譲渡された。
1999年後半、神慈秀明会は土地譲渡の過程を遂行し建築設計を監督するためクレストン委員会を組織した。ラリー・ドイチュ(SSAメンバー)と井原泰三教師がプログラムの共同ディレクターに選ばれ、コロラド州ボルダーのPEH設計事務所が建築会社として選ばれた。神殿、食堂、奉仕者棟、野外ホールの設計は80%は完成、そして2001年3月末までに全体の工事の施工者を決める予定である。会長先生の御先達で4月5日に地鎮祭を行い、その後作業が順調に進めば本年11月中に竣工祭が執り行えるであろう。
最も重要な課題は、このセンターをどのように人類の幸福のため活用していくかということである。私たちは現在、秀明インターナショナル・インスティチュート(SII)を設立する準備を行っている。これはコロラドに基盤をおく非営利団体である。SIIの役割は、インターフェイス活動、自然農法の実践、芸術・文化イベントを通
じた精神的成長の環境を提供することである。あたらしいクレストンセンターは秀明インターナショナル・インスティチュートの本拠地となるのである。わたしは、このセンターは次の3つのように活用されるのではと考えている。
1. 神慈秀明会メンバーのリトリートセンターとして。
2. 地元の人々に向けた文化、環境、インターフェイスイベントの会場として。
3. 世界的な環境や精神的なことに関するイベントの場として
クレストンは、ネイティブ・アメリカンの人々に聖なる土地と見なされているサン・ルイス・バレーの東端に位
置している。クレストンセンターの建設される金鉱山跡地は山の斜面にあり、訪れた人はすばらしい景観を楽しめるだろう。すでにクレストンでのリトリートに参加された方ならご存知のように、この土地は精神的にリフレッシュしてくれるのである。日本の国立公園に指定されている瀬戸内海の黄島は、現在、秀明メンバーのリトリート、青年のキャンプ地として使われているが、クレストンセンターは黄島のインターナショナル版としての役割を果
たすであろう。
ハナ女史は様々な精神的、宗教的な団体をクレストンにそれぞれのセンターを建設するように呼びかけてきた。私たちは、このインターフェイスコミュニティーの積極的な参加者になりたいと思う。さらに、多くの芸術家たちもこの地に移り住んできている。多くの文化イベントを催し、人々の精神的、文化的向上に貢献したいと考える私たちにとって、まさに理想的な土地なのである。
クレストンセンターはミホミュージアムの成功とどのように対比できるであろうか。世界的建築家I.
M. ペイ氏の設計によるミホは、信楽の山々に横たわる独特の建物の崇高な美から発する精神性と展示品を構成する世界中からの古代の美術品の質と美しさによって、今や世界的な美術館となった。精神性と美に関する一連のミホにおけるシンポジウムの出席者をはじめ多くの人々が、ミホでの体験にすばらしい感銘を受けている。このクレストンも十分な可能性を秘めており、その素晴らしい自然の美とハナさんによって育まれたインターフェイスと環境に関する活動が結びつき、大いなる成功をもたらすであろう。ちょうどミホミュージアムがシンポジウムを主催し、すばらしい出版活動を行っているように、クレストンにおいても第一線で活躍する人々を招待し、精神性と環境に関するシンポジウムを開催できると思う。そして、これらのイベントに関する質の高い情報を興味のある方々に広く発信していきたい。環境に関しての素晴らしいイメージをこのセンターに作り上げていきたい。
この文を書くうちに次のようなアイディアが浮かんだ。ハナ女史は、ネイティブ・アメリカンの人々と強い結びつきがある。また、秀明メンバーに度重なるリトリートをしてくださっているシャロン・フランケモント女史もアメリカの先住民族とすばらしい結びつきがある。彼女達を通
じて私たちは主要なネイティブ・アメリカンの人々と出会うことができる。この現代社会を経済的、政治的、社会的、環境的に見渡してみると、私たちは健全な地球を子供たちに受け継いでいくために何かをしていかなければならないことに気付く。ネイティブ・アメリカンの叡智から我々が学ぶことはたくさんあるに違いない。ネイティブ・アメリカンのリーダーの精神性の重要性を理解し、環境への関心の高い成功したビジネスマンを招待して未来について話し合うことができるだろう。ネイティブ・アメリカンの集まりがあるときは、彼らの悲しい過去や権利の回復に焦点をあてがちだが、もう少しポジティブなやり方で、私たちは彼らの自然に対する広大な経験や知恵を賛え、学ぶことができるだろう。我々が話し合うときには、そのイベントの出版物を作り、それを世界の主要な人々に配り、その素晴らしい情報を世界の人々と分かち合うことができる。
秀明の理念から生まれたミホミュージアムが精神性と美の観点から世界に貢献している。同じく秀明の理念から生まれたクレストンセンターを通
じて精神性と環境に関する大切なメッセージを世界に発信できないことがあるだろうか。
SHUMEI Magazine,
VOL. 232, 2001年5・6月号より転載 |